大陸のトップ・エンドでキャンプツアー
ノーザンテリトリー,
高橋靖乃 マップルマガジン オーストラリア ライター |
2013年7月。昭文社『マップルマガジン オーストラリア』の取材のため、ノーザン・テリトリーを訪れました。ダーウィンを起点にキャンプツアーに同行し、国立公園を巡ります。
ダーウィン
真冬のシドニーを経由し、常夏のダーウィンに到着。
手作りのスイーツを出す洗練されたカフェや素敵な教会の建つ小さな街に、心地いい潮風が吹いています。地理的に東南アジアに近く、「旅の楽しみの多くは食にある」と考える私には、質の高いアジア各国料理が味わえるのも魅力です。
夕方、ミンディル・ビーチを訪れました。5~10月の毎週火曜にここで開かれるマーケットが大盛況。アジア各国のスナックのほか、クロコダイル・バーガーやフィッシュ&チップスを売る屋台もあります。アクセサリーや帽子、雑貨を並べるテントもたいへんな賑わい。センスのいい小物が多く、旅行者はもちろん、地元の人々にも人気です。日没前、サンセットを眺めようとビーチに出てみました。空が緑に輝くグリーン・フラッシュが見られることもあるそうですが、この日は残念。でも、オレンジから紫、濃紺へと複雑なグラデーションを描く空は充分に美しく、砂浜に集まった大勢の人々が息を呑んだように静まりました。
明日は、いよいよナショナル・パークでのキャンプ・ツアーが始まります。
リッチ・フィールド国立公園
早朝、トレーラーを引いた四駆のバスに乗り込み出発。
夜明け前の暗い道をまっすぐに走ります。日が昇ると景色は一変。海や街は消え、赤い大地に灌木のブッシュが広がっていました。
やがてバスはリッチ・フィールド国立公園に到着。園内にはたくさんのアリ塚が林立しています。なかには高さ5mという、アリのサイズを考えると途方もない巨大建築もあり、圧巻。地球とは別の惑星にでも来たような眺めです。パーク内には、滝も点在しています。私たちは、フローレンス・フォール、バレー・ロックホールに立ち寄り、泳ぎました。どちらも秘境の滝つぼ、といった趣。冷たい水も爽快です。
この日のハイライトはマリー川湿原でのクルーズ。ここは鳥の楽園で、コウノトリをはじめ、オウム、ワシ、トキ、カモと、多種多彩な鳥たちが暮らしています。水面に目をやると、巨大なワニが潜み、魚が跳ねています。私たちの乗るボート以外、人工的なものは一切なく、野生の世界に迷い込んだ気分です。
カカドゥ国立公園
バスは、乾季のため浅くなったワニの棲む川を越え、ひたすら続く一本道を走ってカカドゥを目指します。
カカドゥは40万年前から人々が暮らしていたといわれる土地で、ウビルではアボリジニの人々が岩肌に描いた壁画が見られます。ガイドによると、魚やカメなどの絵は、アボリジニの人々のメニュー兼レシピだそう。
壁画を見つつ岩場を登ると、突然視界が開けました。見渡す限りの湿原が続き、地平線の向こうに夕日が沈むさまは雄大。月並みですが、大陸の大きさを実感します。
ガンロム滝
この日は、映画『クロコダイル・ダンディ』のロケ地としても知られる滝のそばでテントを張って休みました。全面ネットのテントは屋外に張った蚊帳のよう。寝袋に入れば、正面に何千、何万という星が瞬いています。雨除け不要の乾季ならではの特別な夜を過ごしました。
キャサリン渓谷
翌朝、澄んだ水を湛えたキャサリン渓谷を遊覧船で堪能。垂直に切り立った両岸の迫力、水深によってさまざまに色を変える水の美しさ、渓谷に吹く清々しい風は、水面を行かなければ満喫できないものです。シドニーからツアーに参加した若い夫妻はカヌーで漕ぎ出し、よりダイナミックに谷と川を楽しんだようです。
旅を終えて
ブッシュや滝、ワニ、星空の只中で過ごした旅の日々は、我知らず溜まった心の疲れをすっかり洗い流してくれたようで、妙にすっきりした気分になりました。ダイナミックな大自然の魅力を教えてくれたオーストラリアの大地と、優しく個性豊かなキャンプ仲間たち、そして頼れるガイド、デイヴィッドに感謝。
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マップルマガジン オーストラリア シドニー、ケアンズ、ゴールドコースト、ダーウィンなどの主要な観光都市からノーザンテリトリー、グレートバリアリーフなど、オーストラリアが誇るありのままの自然が楽しめるスポットを紹介する観光ガイド。現地の美しい写真と最新情報をふんだんに盛り込んだオーストラリアをまんべんなく楽しめる一冊です。 |
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